みんなの母だった地域犬の女王ボリは、私達の街を見下ろす高い山の頂上に静かに眠っています。
ボリが皆んなにお披露目されたのは2019年8月1日。
私達のYouTube3本目の動画ですが、私達の家の前が彼女のテリトリーだったので、そのずっと前から毎日出会っていました。
お腹に大きな塊を下げていましたが、いつも地域犬のチビと元気に走り回っていました。
ボリはとても強い犬なのでワクチン注射を打つのも苦労しました。
その頃の私達はネパールの子供達に読み書きを教える貧しいボランティアだったので、私達が借りている部屋の下にある大家さんの店のクッキーや、10円ドーナツを野良犬達にあげるのが精一杯の暮らしでした。
ボリとチビは私達を見つけるといつも直ぐに走ってきました。
狂犬病のワクチンも打っていない野良犬なのに、手を出すと必ず甘噛みするのが楽しくて、私たちはいつもボリに手を噛ませて遊んでいました。
以前、私達は家から800mほど離れた場所に住んでいた別の子犬2匹に時々クッキーをあげていました。
彼らの母犬はガリガリにやせ細って亡くなってしまったのです。
ある時、その子犬達は大きな犬に噛まれたとかでクッキーも食べないくらい元気がありませんでした。
そして次に行った時には、1匹は亡くなり、 残ったもう1匹はどこにもいなくなっていました。
それがある日、ひょっこり私達の所にその子が現れたのです。
私達はその子犬をウィッシュと名付け、ボリやチビと同じように地域犬なりました。
そしてその日からボリはウィッシュのお母さんになりました。
他の野良犬達もウィッシュを暖かく迎え入れ、彼女が幸せを取り戻す楽しい日々が続きました。
幸せ過ぎて調子に乗ったウィッシュをボリはしっかり躾けます。
そして叱られて落ち込んだウィッシュをかばうように、(落ち込むのはほんの一瞬ですけど)「お父さん」と言う名の野良犬が割って入ってウィッシュを守ります。
そして厳しいボリもパパがウィッシュに目薬をさそうとした時には、必死に妨害していました。
そんな優しい野良犬達の毎日でしたが、悲しいことにその平和な日々は長くは続きませんでした。
交通事故による怪我も克服したウィッシュでしたが、母犬と同じ症状でどんどん痩せて、遂には亡くなってしまったのです。
アパートのドアを開けるといつもいた2匹。
ボリとウィッシュは本当の親子のように幸せだったのに、あまりにも早いお別れでした。
そして月日が流れ、私達はYouTubeを始めました。
助けられなかったウィッシュのような野良犬を救いたくて、YouTubeで支援者を得て収益で支援活動を始め、少しずつ活動の幅を拡げ出来ることが増えていきました。
ウィッシュと行った獣医では血液検査さえ出来ず、誤診による治療で命を救えませんでした。
しかし今は設備が整って手術の出来る獣医を見つけました。
初めはママがボリの口を開けて毎日薬を飲ませるだけでしたが、(ボリはとても素直にお薬を飲んでくれました)ついにボリのお腹の塊を取れる日が来たのです。
ボリ物語2に続く…
筆者:Bo Giant
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