3年間のネパール保護活動で成し遂げた3つの事と、出来なかった1つの事

私達は現在カトマンズ郊外で1人の日本人と数名のネパール人と親切な隣人達で35匹くらいの野良犬の世話をしています

フード支援、狂犬病注射、ワクチン注射、フロントライン、駆虫薬投与、疥癬症やパルボやエールリキアやバベシアの治療避妊手術、その他怪我治療などが主な活動内容です

狂犬病は珍しくないので私達自身も狂犬病予防注射は何度も打ち、知らない犬に噛まれた時もまたすぐに注射をします

狂犬病発症の犬は攻撃的で噛みまくるのでとても危険です

噛まれた場合すぐに注射をしなければ死に至ります

           

そしてコロナのせいで物流が止まり、質の良い薬もエサもネパールに届かず、いつも以上にとても苦労しています                   

貧しいネパールではボランティアは集まらないのでヘルパーには報酬を出しています

そのお金で学校に通えるようになった若者や

仕事を求めて田舎に引っ越さなくてよくなった家族や持病があっても出来る仕事を得られた若者もいます 

ネパールでもコロナの影響で失業し生活出来ない人が沢山います

野良犬にエサを与えるのを見てお金をせがまれることもあります

実はネパールからインドへ奴隷として売られる人身売買が今もあり親に捨てられたりして自活している幼い孤児も沢山います

もちろん学校には行っていません

ある日、可愛い少年が手伝ってくれたので喜んでいたら後からお金を要求されたこともありました

時給1ドルにさえ遠く及ばないアジアの最貧国ですが、今はコロナの影響もあって仕事自体もありません

ヘルパーの若者の1人は食事すらできないこともあったそうです

また狭い家で沢山の家族が暮らす場合、コロナに全員が数回感染した家族もあります

PCR検査には高額な費用が必要なので、検査もせず、ただ家で高熱が下がるのを水だけ飲んで耐えるような状態でした

ワクチンは日本政府が寄付するまでは中国製しかなかったので効果はないようでした

慎み深い彼らは助けを求めませんでしたが、私達はPCR検査費用を払い食べ物を届けました

その家族のうち数人が私達のヘルパーとして、色々な場面で力になってくれています

ネパールで野良犬を助けることで、私達は幸せにも、人々に仕事も提供できているのです

昨年、7年のネパール滞在を終えて日本に帰国した私達夫婦がこのチームの創設者ですが、現在ネパールの活動を運営しながら両国での様子をYouTubeなどで発信して、日本でも野犬の子犬の里親探しをしています

私達は数年前、軽い気持ちの旅行の予定でネパールを訪問しました。

しかし3日に一度の水の配給を何時間も並んで待つ子供達が思い出だされ水道をひねればきれいな水の出る日本にいる自分がまるで戦場から途中で逃げてきたかのような気持ちになりました

貧しい少女がクッキーを買って野良犬に与えるような場面もよく目にしました

それが日常の国です

私達はもっとネパールのために何かをしたくて、お金を貯めてまたカトマンズに戻りました

しかし、そこでの生活は過酷で、何度も体調を崩して入院し、私は15kg痩せました

頭痛と下痢には最後まで日常的に悩まされました

ちゃんとした治療を受けられる外国人用の病院は高額なので、旅行者保険を使えなかったら2日で1,000ドルもの入院費を払えずに命を落としていたかもしれません

 ( とは言え胃潰瘍の患者にポテトフライの病院食でした)

飲料用の水道はなく、断水や計画停電が日常茶飯事なので、肉屋の冷凍肉でも解凍が繰り返されて腐りかけていたものもあり、日常的に激しい下痢を引き起こしました

店頭の魚や果物には沢山のハエがたかっていました

とても美味しいフルーツジュースなのですが…

私達は殆どのお金を野良犬のために使っていたので、10セントのドーナツや麺を2人で分け合い、何の設備もない部屋で暮らしていました

例えばトイレはバケツの水で流し、お風呂はないので太陽熱で温める温水器のホースでお湯を浴び、玄関は鉄柵のみでした

数年前の動画を見た人達から「なぜ野良犬を保護せず映すだけで立ち去るのか」と言う批判が沢山寄せられました

お金の為に撮影してるだけだと非難もされました

それはとても辛く傷つきましたが、当時の私達には野良犬に時々食べ物を与えるのが本当に精一杯だったのです

病気の野良犬がいても良い獣医が見つからず失った命もあります

設備のある獣医は裕福な外国人の地域にあり、治療費は高額で簡単には払えません

例えば避妊手術はネパール人の月収2ヶ月分といったレベルです

何の設備もない獣医で間違った診断をされ、正しい治療を受けられず私達に見守られながら消えた命もあります

何度も悔しくて悲しくて辛い体験をして、私達はYouTubeを始め、幸いにも支援者を得て、少しずつ出来ることを増やしてきました

しかし今も収益はとても少なく、野良犬の写真集やカレンダーを作って支援金を集めています

私達は老いた親の事情などにより、やむを得ず帰国するしかありませんでしたが支援者の皆さんのお陰でカトマンズと日本に奇跡的に小さな避難所を建設することが出来ました

カトマンズの施設にはネパール人家族が住み、日本の施設は私達夫婦の家を改装して犬達の世話をしています

ネパールでは外国人が国籍を取ったり、土地を購入したり出来ないので、ネパール人家族が避難所とそこに併設した彼等の家の土地の賃貸契約などの対応をしました

彼らは毎日とても一生懸命に野良犬達の世話をしてくれています

エサやり、シャンプー、散歩、健康チェックなどをして、異常があればすぐに獣医に連れて行きます

時には画像を送るだけでいつもの獣医さんが無料で指示をくれます

彼らは傲慢で攻撃的な新入りの犬を受け入れるために、数日かけて根気よく先住犬達に慣らしてくれます

基本的に避難所は退院後の療養や投薬などが必要な野良犬達の一時的な保護施設なので入れ替わりが多く、トラブルなく共存させるのも大変なのです

彼らの努力で施設は掃除が行き届き犬達もいつも清潔で健康的です

地域の野良犬にはヘルパー達が今も餌や薬や注射を与えています

各地域には親切な住人達やヘルパー達もいます

優秀な獣医さんや出張獣医さんやいつも助けてくれる優しいタクシードライバーさんもいます

違うタクシーだと犬が酔ってしまうのです

こうして沢山の人達に支えられ活動を継続することが出来ています

また字が読めない人達にも犬と接する注意点がわかるように、絵のチラシを配り、地域の人達の意識改革にも取り組んでいます

現在の資金や人手ではこれが限界ではありますが、これからもより多くの野良犬を末長く救えるようになりたいと思っています

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